足袋蔵が点在するまちに住む ~ものつくり大学教務課長・ぎょうだ足袋蔵ネットワーク 宮本さん~

「蔵のまちと言えば、県内なら川越市が有名でしょうか?隣の県にある栃木市も有名ですね。実はここ、行田市にも素敵な蔵が沢山あるんですよ。」
そう話すのは、行田市内にあるものつくり大学の課長であり、NPO法人ぎょうだ足袋蔵ネットワーク代表でもある宮本さんです。

「蔵があるまちというのは大体、同じ顔の蔵が並んでいて、それはそれで良さがあるのですが、行田の蔵は多様性があるのが特徴です。多くは足袋を保管するための倉庫なので、家の奥の方にあって外からは見え隠れするくらいで、それがまた良いと思います。中には、明けてびっくりのお宝があったなんて話が聞けるのも楽しいですよね。足袋蔵以外にも、他にないような、全部同じ方向を向いている古墳群があり、埼玉県名発祥の地なのも特別だと感じます。忍城は、小説「のぼうの城」が映画化されて有名になりましたし、若者がコスプレイベントを楽しんでいるのもいいですね。古代蓮だってとても珍しいですし、贅沢なまちですよね。」

都会の真ん中、東京都の新宿区に住んで、建築や都市計画の事務所にいた宮本さんが、はじめて行田市と関わったのは1987年ごろで、当時から行田市は理工系大学誘致に熱心だったそうです。その後、1990年ごろ、建設業界では建設現場の若手の技術者が少ないという問題があり、若い技術者を育てるための学校を作ろう、机の上だけでなく実習ができるような他にない大学にしようと話は進み、宮本さんも、大学設立のメンバーに加わりました。
現在、ものつくり大学は創立から19年経ちましたが、構想は約30年も前から練られていたということになります。宮本さんの移住のきっかけは、大学の設立というとても大きなプロジェクトだったのですね。

それとだいたい同時期に、行田市では蔵を活かしてまちづくりをしようという話も出てきたそうです。
そこで、同大学の文化財専門の教授が調査とアドバイスに携わり、地元の建築士などとコラボして、現在蕎麦屋になっている「忠次郎蔵」の改修をしたことをきっかけに、2004年NPO法人ぎょうだ足袋蔵ネットワークが設立されました。
忠次郎蔵の改修の期間は大体1年くらいで、予定よりはお金が掛かってしまったようだと宮本さんは言います。大学の設立から忙しく働いていた宮本さんは、2005年頃から活動に参加し、現在は代表をお勤めになっています。

ちなみに、足袋蔵ネットワークは、市内の蔵を保全活用するために様々な活動を行っており、その努力のおかげで、市内に「足袋とくらしの博物館」や「牧禎舎」などの美しい状態の蔵がたくさん残っているのです。

都会から移住してきた宮本さんに、行田での生活も聞いてみたところ「行田の真ん中に住んでいるので、用事や集まりがある時に、車を使うことなく、徒歩で行けるというのは凄く楽ですよ。近所に何でもありますからね。行田での暮らしがこんなに楽だとは予想していませんでした。」と、住みやすさには満足していらっしゃる様子でした。また、「行田は東京まで約1時間、電車代も往復で2000円くらい掛かりますが、例えば普段は行田でインターネットを使った仕事をして、週に1回東京に出るとします。その日に都内での用事を済ませ、好きな美術展などを見られるとしたら、その1日が刺激になるし、約2000円の出費も惜しくないと思いますよ。考え方次第で、色々な暮らし方ができますよね。」というお話もいただきました。

行田市をもっと良いまちにするために、宮本さんはどんなことをお考えでしょうか?
「去年は歴史的な台風が来てしまい、TVでは、酷い水害のニュースが長く続きましたよね。私の大学でも、1ヘクタールの調整池が、今まで見たことのないくらいの水位になって、ひやっとしたことがありました。災害対策は住まいを決める上でとても大切なことなので、市民や行政、企業などみんなで考え、これからもしっかりと実行し続けてほしいと思います。他には、若い人が元気に活動してほしいと思っています。市長に直接お話しができる会や、委員会など、色々な機会があるので是非参加してほしいですね。今後はこども議会なんかももっと多くやってくださるといいなと思います。
もう一つは、魅力的な仕事がどんどん増えたら良いと思います。卒業した若者達に定住してもらえると、まちが活気づきますからね。」

ぎょうだ足袋蔵ネットワークが管理している足袋蔵の中には、アトリエや店舗として借用できるものがあり、現在(令和2年3月)、牧禎舎や牧野本店を利用してみたいという方を募集しているそうです。
「例えば、手工芸、陶芸などのものづくりのアトリエとして使用したいという方、起業して蔵を使ってみたいという方は、男女問わず、やる気がある方なら若い方でもチャレンジしてみて欲しいので、ぜひお問合せください。1~2年くらいの期間のチャレンジャーを歓迎しています。」

人生の一部を居心地の良い蔵と接して過ごすことができたら素敵だと思いませんか?
皆様もぜひ行田を訪れ、昔ながらの足袋蔵やそれに関わる魅力的な方々と触れ合ってみる、そして足袋を履いて元気に暮らすのはいかがでしょうか?

http://www.tabigura.net/npo.html